Saint Bleu

Don't you ask yourself, ”Can this be?”

君の痛みをあきらめたりしない

※この記事はテイルズオブアライズのクリア感想記事です。EDまでのネタバレがあります。(ほんの少し他テイルズの話もしています)

 

 

テイルズオブアライズをクリアしました。

テイルズシリーズの5年ぶりのコンシューマー最新作ということで、情報は断片的になんとなく知ってたものの自分では調べに行かなかったので、ほぼまっさら状態で始めました。アルフェンが痛みを感じなくてシオンが痛みを与えることだけ知ってた。
発売前に公開された画像が綺麗すぎて、3D酔いしないかな!?どうしよう……って心配してたけど、実際プレイしたら思ったより絵画調で目にやさしくてよかったです。

序盤で難易度ストーリーに切り替えてやってても戦闘がけっこう難しくてヒエ~ってなってたけど終盤はシオンちゃんで銃ぶっ放すのにハマったりリンウェルちゃんでマジックチャージしまくったりしてました。反射神経と注意力がなさすぎて回避できないマンなのでそもそも遠距離のほうが向いてるのでは……と気づいたのは終盤だった。

ゲームを短期間でクリアすることってあんまりなくて、一年くらいかけてクリアするのが常だったんですけど、アライズはなんとか今年中にクリアしたいと思ってがんばりました。発売日からちょこちょこと進めてたので、3か月半くらい? 自分にしてはめちゃくちゃ早いほう。目標達成できてよかったです。

以下ストーリーやキャラなどに対する感想です。

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ストーリー

◇自分自身の主であれ

支配され隷属するのが当然の立場から始まり、その不当な状況に抗おうと立ち上がっていく流れは熱くて奮い立たせられた。RPGではよくあることだけど、意図せずレジスタンス側として動くことになるの王道で楽しかった。奪われ続けた人々がどうなるか、突然支配から解放された人々がどうなるか、それぞれの街で突きつけられるのもよかった。
理不尽を許せない気持ちを戦う力に変えたアルフェンの、師であり指針となったジルファがずっと「俺の言うことを信じるな、自分を信じろ」って言い続けたのが印象的だった。従うことが当たり前で、奪われることが日常なら、その理不尽を疑うことも忘れてしまう。こんなのはおかしい、人が奪われ踏みつけられるのを止めたい、そう強く思った自分の気持ちをアルフェンは最後まで守り続けたからあのラストにたどり着けたのかもしれない。


◇この世に悪があるとすれば

ダナの5つの領それぞれで異なる支配を見せられて、それらにアルフェンたちは一つ一つ立ち向かって解放していく。2つ目のシスロディア辺りまでは、領将をすべて倒してレナの支配を止めよう、ってくらいの目標で動いてたけど、メナンシアでパーティ6人揃った辺りから、今の状況は領将を倒すだけでは何も解決しないってことが見えてくる。だんだんと、ダナもレナもどちらも理不尽な構造に囚われているのだと分かってくる。
あんなにダナで残酷なことを行った領将たちも、レネギスの人々にとっては自分たちを守り導く良き指導者や庇護者だった。レナ人にとっては力ある者が上に立ち、力なき者が従い下につくのが当たり前で、それがおかしいとか理不尽だなんて考えたこともない。当然だとされてきた構造を疑うのが難しいのはダナ人もレナ人も同じ……。奪い奪われるのは誰かが悪なのではなく、構造が人の悪を引き出すって話をしてくれたのがよかった。
それにしても、ヘルガイムキルが人々を魔法で操ったとかではなく、構造を作り出して従わせたっていう本物の“洗脳”だったのにはびっくりした。人の心は弱くて脆くて、でもまた変わることもできる……いろいろ考えさせられた。


◇専門用語

アライズの好きなところとして、世界観を説明する重要ワードの多くが概念をあらわす言葉だったことがある。〈王〉、〈巫女〉、〈荊〉、〈赤い女〉、〈楔〉などなど……。この世界特有の専門用語があまりたくさん出てこなくて、抽象的な言葉でお話が進んでいくのが自分の好みに合ってた(横文字覚えるのあんまり得意じゃないのもある)。話の中身自体はずっしり重いテーマを扱って、言葉を大事に紡いでいってたからこそ、そのテーマを取り巻く世界がおとぎ話めいた雰囲気をまとっているバランスがよかった。アルフェンとシオンもグリム童話のいばら姫(別題:眠れる森の美女)っぽいところがあるよね。


◇奪っているのは誰か?

物語の序盤から、きっとレナに行くんだろうな……レナはどんな世界なんだろう……最終的にこの構造を作り上げて維持してる諸悪の根源と戦うんだろうな……ってずっとぼんやり思ってたけど、まさかレナに人間がいないなんてちっとも想像してなかった。星舟から見たレナが星の形をしておらず、外側の殻しかないのを見たときはかなり衝撃的だった。
諸悪の根源がレナの星霊力だ、星霊が力を貪りたいがためにヘルガイムキルが作り出され、ダナ人がレナ人にされ、ダナからすべてを奪う構造を作り上げた、って話になったとき、いや絶対ここまで来たらレナの星霊も“構造”の中にいるでしょう……と思ってた。レナの星霊はあるべき姿に戻ろうとしてるんじゃないか、でもそれは滅びたレナを元に戻したいとかそういうことなのかなって考えてた。なんか人類の原初たる罪があるのかもしれないとか思ってた。
でも、レナの星霊に触れたリンウェルちゃんが「怯えてる」って言ったとき衝撃が走った。レナの星霊の生き物としての感情をいろいろ考えてしまった。ひとつの世界として生まれるはずだったのに分かたれて生まれてしまった、片割れ(ダナ)は遍く広がって確固たる意思を持たずつながることができない、こんな場所で一人きりで寂しい、死にたくない、ひとりになりたくない……シオンが荊を暴走させたときの「私は独り」っていう絶望はレナの星霊のものでもあったのかもしれない。生きものの原初たる感情……破滅の闇へと至る絶望……。
ラスボスが孤独ゆえにすべてをあるべき姿に戻そうとするのはテイルズのみならずRPGではよくあることだけど、ここに来てその様式美へ綺麗に帰結するところに感動してしまった。


◇ダナとレナ

レナの星霊は強大な力を持ちながら生きて、生きたい欲望はとどまることを知らないのに自分と対等なものと話せない、ってつらすぎると思った。度々見たダナの意思の断片から、ダナはレナと話したいけど直接語りかけるのは難しいというような感じがした。まるですれ違う双子みたいで……終盤で一気にダナとレナのカップリング(?)推しになりました。ひとつになるはずだったのに分かたれてしまった存在とかみんな好きだよね?(突然のデカ主語)
ラストで一つの星になってよかった。推しカプ成就した。レナの願いは生き延びること、ダナと一つになること、でも片方が手を伸ばすだけでは叶わない。それをアルフェンとシオンがダナに伝えたことで、ようやく手をつなげたんだなと思った。奪って得るのではなく、伝えて許して分かち合うことの象徴として、ダナとレナの星霊が分かり合えたのがよかった。セカンドOPムービーのラストで揺れてた花は、アルフェンとシオンのモチーフかと思ったら、ダナとレナのモチーフでもあったんだな。ピンクがダナで青がレナで、アルフェンが青でシオンがピンクで、どちらがどちらでもいいんだって思えた。

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キャラクター

◇アルフェン

すべてを諦めない主人公。最初から最後まで一番大事なものを持ち続けて見失わなかった。歴代テイルズでもかなり英雄気質の主人公なんじゃないか。
仮面で出てきたときはびっくりしたけど、たぶん2周目でどんな表情してたか分かるかな。半分割れてる状態が一番好きかも。シオンがお着替えしたときに見とれてたり、シオンに青の差し色がいいって褒められてそれをずっと覚えてたりするところが好き。ロウとやり取りするときには年頃の青年っぽくはしゃぐのよかったな。ふたりとも恋バナしすぎでは?

真面目だけど一直線に突っ走りすぎず、立ち止まって考える思慮深さもあって、何よりいつも自分の思ってることをちゃんと言葉にして伝えるところがよかった。だからこそティスビムで仲間たちがアルフェンからもらったものをそれぞれ見せて返す流れがめちゃくちゃ刺さった。アライズは言葉を大事にする作品なんだなってあの辺りで感じた。

途中でなぜかリンウェルちゃんが300年前から来たのでは?みたいな謎の妄想をしてたんだけど、まさか本当に主人公が時をかけてる(物理)とは思わなかった。記憶が戻ってからは、ネウィリへの親愛のような気持ちをずっと大事に持ち続けているのがよかった。だからこそシオンを絶対に失いたくないとより強く思ったのはあったんじゃないだろうか。
アルフェンが大事なものを最後まであきらめなくてよかった。プレイヤーはラストで若干あきらめかけたよ。アルフェンはすごい。哀れみ赦すのは強者の行いだとヴォルラーンは言ったけど、強い力を持つものこそ何も取りこぼすわけにはいかないという心を持ち続けなくてはいけないのかもしれない。思えば彼は最初から人や物の本質を見抜く人だったけど、レナの星霊もまた構造に囚われた存在なのだから救わなければってあそこで気づくのすごいと思った。心から尊敬してしまう。シオンを見つけてくれてありがとう。あきらめないでくれてありがとう。


◇シオン

顔が好き。ずっと「顔がいい……瞳が綺麗……」って言いながらプレイしてた。アライズの3Dモデルはシオンのお顔の美しさのために作り上げられたといっても過言ではないと思う。
顔だけじゃなくて性格も好き。序盤の刺々しい感じから大好きだった。目的以外のものは切り捨てて一顧だにしない冷酷な人間であろうとつとめて生きてきたんだと思えた。本音を建前でかたく武装して、自分でも気付かないくらい深くに閉じ込めて、たぶんそうせざるを得ない状況で生き抜いてきたんだって序盤から分かるようになってるのがすごかった。
他人に対して冷淡なのも、痛みを与える呪いをもっとも嫌がっているのはたぶん本人だからこそ、人に呪いを与える前にそれよりはマシな痛みを与えて遠ざける方法を選んでるんだなって思ったらなんて不器用で優しい子なんだろうと好きになってしまった。
ご飯たくさん食べるのも、食料を得るのに苦労した背景があったのかもしれない……あと荊という星霊力と生きてるからその分? どうやって生活してたのか分からないけど、とにかく栄養取ることに全力みたいな感じだったのは、人に近づくことができないから食事をとれる機会が少なくて食べられるときに食べとけみたいな生活を送ってたんじゃないか……とかいろいろ考えてた。

序盤からすでにそんな感じだったんだけど、中盤以降からシオンの愛情深さや優しさが徐々に表に現れはじめて、でもそれをどう差し出せばいいのかわからない、みたいな感じが最高だった。ダナ解放後は、ひとりで苦悩する様子にめちゃくちゃ不安を覚えてた。レナス・アルマの話をするときの不穏な雰囲気と致命傷を受けても平気だった様子から、たぶんシオンの話す「荊を消す」っていうのは「死ぬ」ってことなんだろうな……このまま生きていて人を傷つけるくらいなら……とか考えてるの……!? やだよ……とかハラハラしてた。

そしたらあのレネギス突入前の告白……ひとりで舟に乗り込もうとするシオンがアルフェンに銃を向けて、でも一発も撃てないのがとても彼女らしかった。撃てるわけないよね。
でもシオンの愛情深さは自分の想像を超えてた。荊が己に触れたものを傷つけるだけでなく、このまま力を増せば世界すべてに対する破滅をもたらすから、それを止めるために荊と差し違えようとした……そんなことある?
きっと生まれたときから誰にも優しく抱きしめてもらったことも一緒に行こうと手を取ってもらったこともなかったであろう彼女が、痛みに怯える人の顔が遠ざかっていくのを何度も見て、誰からも離れた場所でひとり生きてきたであろう彼女が、世界のために死のうという使命感をもって戦っていたなんて、どうして? どうして? ってめちゃくちゃに泣いた。いったいシオンにこの世界が何をしてくれたというのか……。本当はいろんなものを愛したくて、でもできなかったから、荊を滅ぼすことでこの世界を愛そうとしたんだと思った。あまりに愛情深すぎて……シオン……愛……Love……って一週間くらい呻いてた。
アルフェンに、みんなに出会えてよかった。荊はシオンの心を深く縛り傷つけた呪いだったけれど、孤独なシオンの命を守って皆と出会えるダナに導いた。本当はなかったほうがよかったものが引き寄せた運命という概念が好きです。

巫女の衣装のカラーリングがカノンノ(イアハート)っぽいなと思った。かわいくて可憐で好き。ポニーテールからまとめ髪にしたのも他人との距離感の変化っぽくてよかった。(髪が揺れる範囲が広ければそれだけ人は遠くに行くから)
決意に満ちたシオンは、自分と皆を愛するために生きようとしててよかった。遠ざけようとしなくても近づきたいって気持ちで笑ってくれる人がいるから。触れあえなくてもここにいるよって伝えてくれるから。後半はずっと「シオン生きて……」って祈るような気持ちだったから、生きてくれて本当によかった。そして本編EDで結婚するというテイルズ史上ハッピーエンドヒロインになってしまわれた。たくさん食べて愛したいひとと手をつないで幸せになってね……。


◇リンウェル

テイルズで後衛魔法少女キャラはだいたい好きになるが、こんなに好きになるとは思ってなかった。眉毛が好き。かわいさと快活さあふれる見た目なのに静かで感情を抑えた話し方をするなっていうのが第一印象だった。
パーティ加入以降は、これでもかというくらいの不穏&意味深ムーブを食らって、ウワ~~何をやらかすんだ~~ってそわそわしてた。ダナの積もり積もった恨みを代表するような物言いや、ダナの歴史への愛着とかから、レナに支配される前の300年前から来た時をかけるリンウェルちゃん!? とかいうぶっとび妄想をしてた(まさか主人公が物理で時をかけてるとは思わなかった)。もしかして裏切り枠かもしれないとも疑ってた。むしろ手酷く裏切られて傷つきたいとか思ってた。

そしたら「復讐のことだけ考えて生きてきた」ってあの場面でウワー!!キター!!ってなんか逆にテンション上がってしまった。リンウェルちゃんの憎しみに囚われた表情見て「そうだよその顔が見たかったんだよォ!!」って最低悪役みたいな心境になった。ごめんなさい。
リンウェルちゃんの知的好奇心と人間不信感はリタを思わせるし、本当は人懐こくてまだ人に甘えたいけど頑なで不安定さを持ってる感じはアニーを思わせるなって感じてはいた。けど復讐のところでアニーと重なるとは思わなかった。憎しみだけで立ち続けて、復讐に向かって突き進んで、そこが自分の人生の終着点なのか?っていう命題にはクロエを思い出した。

ダナの歴史や文化に対する深い想いは、自分のルーツを探していたのかもしれない。自分以外の魔法使い、生まれ育った里、自分に魔法を教え慈しんでくれた両親、それらすべてを失ってしまったから、ダナ固有の遺物の名残に対して「私とこの世界をつないでくれる気がするから」って言葉が出たんだなって……。もう不要なものだと奪い去られてほとんど消えてしまったけど、まだここに在り続けるということがより近しいものだと思わせたのかもしれない。

憎しみだけで生きようとしないことを決めたあとは、リンウェルちゃんが喋るたびに泣いてた。少しずつ自分の中にある憎しみ以外の気持ちを探していこうとするさまに心震えた。後半は全力で笑ったり怒ったりするのを見るだけで泣いてた。ロウに対して子どもみたいなこと言うのも、ロウが絶対許してくれるって分かってるから甘えてるんだと思えていとおしかった。人が近づけなかったシオンと違って、リンウェルちゃんは人に近づいて立ち回ることで生きてきたんだと思うから。だから憎しみだけがホントの感情で、それ以外は目的を達するまで生き延びるためのものだったのかもしれない……って思ったら顔真っ赤にして怒ってるだけで泣いてしまう。めいっぱい甘えて感情表現して……。


◇ロウ

登場シーンでここ!? って驚きまくった。親父……。アライズは自分の考えを言葉にして表現するタイプの思慮深い人が多い中で、言葉にするのがあんまり得意じゃないところが好きだった。でも単純バカとかじゃなくて、お父さん譲りの勘や諜報の経験などから直感はとても働くんだと思う。直感を見定めて動ける子なんじゃないか。

ロウはリンウェルの復讐を止める場面が一番印象的だった。けっこう唐突でびっくりしたし、ロウはジルファの復讐したのに? って気持ちもちょっとあったけど、ロウは復讐を果たしても失ったものは戻らないし自分の罪悪感はずっと残り続けるって分かったんだろうな。憎しみでジルファのもとを去ってジルファと戦って死なせてしまうことになって、また憎しみをもってガナベルトを倒したけど、それで何かが満たされたり終わったりすることはないって感じながら旅をしてたんだろう。
リンウェルのあの憎悪をあらわにした顔を見てとっさに動けるのはロウしかいないだろうなって思った。なんでか分からないけどこうしなきゃいけないと思った、の後ろには自分の後悔や罪悪感などがあったのかもしれないけど、それより先に体が動くのが彼らしくて……。リンウェルの憎しみに駆られた表情が自分と同じだとすぐに気づいたのかもしれない。

それからはリンウェルに対して親近感を持ちつつも、度々怒らせちゃうのがかわいかった。賢いリンウェルに思ってることを上手く伝えられなくて誤解されて怒られる流れ何回もあったけど、リンウェルもロウに甘えてるから「なんでわかってくれないの!?」って怒ってるところがあるし、ちょっと不器用な兄妹っぽいところが好き。リンウェルにバカにされてもロウはあんまり言い返すことないし。かわいいね。一つになった世界で、リンウェルちゃんとダナの起源を探る旅をしてたらいいな。


◇キサラ

アーマーお姉さん。FEシリーズでも女性アーマー好きだから嬉しかった。戦闘下手だからアイテム使いまくってお金たくさん使ってごめんなさいお母さん。釣り苦手であんまりやらなかったから称号ぜんぜん取れなかった。来世はがんばるから……。
テュオハリムとセットで出てくるっぽいことはなんとなく知ってた。主人の理想を信じる忠誠心高い騎士……なるほど……って思ったらあの絶叫だよ。「私たちに語りかけた理想は?」「こんな人のために兄さんは……」の絶望した瞳と悲嘆の声に幼い少女のような影が見え隠れするのが、ええ……好き……ってなった。あのシーン好きすぎて何回でも見たい。

その後、テュオハリムと対等な人間として彼を見守りながら自分自身の理想を探すようになった姿が凜々しくて好き。しっかり立っているように見える姿は、大切な兄さんのように在ろうと努力してるんだなってところも。世話焼きお母さんな面も、兄さんが自分にしてくれたことをみんなにしているっていうのが好きだな。面倒見がよくて責任感がとても強いのは彼女自身の性格でもあるんだろうけど。
だからこそ、自分がした過ちもミキゥダ兄さんのことも、テュオハリムのこともずっと見つめていくんだろうな。テュオハリムが前を向けるようになったとき「寂しい」って言ってたのが印象的だった。テュオハリム……見守るひとである彼女を支える人になってほしい。あとテュオハリムのこと「あの人」って呼ぶの好き。


◇テュオハリム

天然貴族。死にたがり。おじいちゃんって言われてるの笑う。人気投票1位おめでとうございます。
領将として出てくると思ってなかったのでメナンシアではかなりびっくりした。理想の体制は自分の苦痛を減らすための処置でしかなくて、領将でいる間をしのげればそれ以外のことはどうでもよかった、っていうのがめちゃくちゃ人間らしくてよかったな。自分だけのためであっても、それを実現してしまう力が彼にあったのが幸運でも不運でもあり。
罪の意識を背負い続けて、死者のために償いをしなければと苦しんでいたけど、「償うことなどできない」ってキサラに言われたところ好きだった。失われたもののために生きるのではなく、今ここにあるもののために生きようと決めるところで泣いた。テュオハリムはまとめ導く力はあっても、性質があんまり指導者向きではなくて、でもだからこそ自分がその役目を担おうと改めて決意するのが熱かった。
シオンに対する同じレナ人としての距離感とか、リンウェルに対する文化を愛する同士としての眼差しとか、他女子とのやり取りもけっこう好き。テュオハリムもアライズ言語化上手い組ではあるんだけど、余計なことまで正直に言い過ぎちゃって、それをみんなにしょうがないって許されてる感じがいいな。
アルフェンとのキャンプ会話を最後まで見た称号で戦闘不能回避スキルが取れるのめちゃくちゃよかった。もう死ぬわけにはいかない、生きて未来を見届けなければいけないって思ってるんだなってシステムで改めて知らされるの素敵だ。


◇ヴォルラーン

テイルズ伝統ストーカー執着心強い系宿敵枠の人。ラストで出てきたときはまだ出てくんのかよ!!とか思ってすまなかった。
ヴォルラーンはアルフェンたちが目指す理想のためには背負わなければならない痛みの象徴で、それを忘れさせないためには最後に出てこなくちゃいけなかったんだなって思った。痛み傷ついてそれでも赦しあうことはそんなに簡単なことではないっていうメッセージを感じた。

奴隷から〈王〉に作り替えられ利用されて、彼は支配されることと支配することしか知らないっていうのはラストバトルでアルフェンと話した通りだろうな。彼の行動はすべて自分の力を証明するためで、与えられた痛みと屈辱が力と支配に変わるっていうのはニズの人たちにも似てる気がする。さらったシオンに対する態度も「強き者に与えられるトロフィー」としてのものなんだよな……踏みつけられ傷つけられた者が一転して強大な力を与えられたら……っていう点でアルフェンと対になってるんだね。
ヴォルラーンが極端な例だとしても、彼のようにボロボロで痛みきった恨みを忘れない人は多くいるだろうし、アライズの物語を綺麗に終わらせない役目を担った彼のことは忘れずにいたい。

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プレイ中に考えてたこと一つ一つ思い出しながらちまちま書いてたらめちゃくちゃ長くなってしまった。
一つ惜しかったな?って思ったのが、ちょっとボリューム不足だったかなということ。レネギスに着いてからわりとラストまですぐだったのでもうちょっとみんなで冒険したかったなって思った。サブイベントも分かりやすく巡れるようになった分もうちょっと数があってもよかったかなって思った。でも2周目要素もあるっぽいのでまたゆっくりやっていきたいです。

個人的に、新作を新作の時期に楽しむって体験が今までなかなかなくて、いつも遅れてプレイしたりクリアしたりするのが当たり前だったので、どっぷりアライズを駆け抜けられて楽しかったです。初見で何も知らないまま味わうことができて本当によかった。

まだまだ書きたいこと考えたいこといろいろあるけど、いまここで全部書いてしまったらもったいない気がするので、また折に触れて、ゆっくりこのテイルズオブアライズという作品を愛していきたいです。